「本当の豊かさとは何か?」多くの人が、心のどこかでこの問いを抱えながら生きています。
私は、約6年間続けていた建築サラリーマンを辞めて、異業種であるIT会社の起業をし、WEBやアプリ制作事業に舵を切りました。順調に業績を伸ばし、500件程度の案件をこなすほどに成長しました。そんな順調な日々の中、体に異変が起きたのです。最初は頭痛、歯、目の奥の痛みが体を襲うように。歯科と眼科で診てもらったのですが異常なし。
徐々に頭痛がひどくなり、咳をするとハンマーで殴られたかの如くの痛みがでて痛み止めを飲まないと仕事ができない状態になりました。病院へ行き精密検査やCTスキャンの結果は、3cmほどの腫瘍が明らかに映っており、脳腫瘍の疑いがあるとの診断でした。「いつかは死ぬ」と理解していながらも、30代前半の自分にはまだ訪れることはないと、どこかで思っていました。小さな子どもが3人いる状況で、当時の自分にできることは、良い病院と医者を探し、最善策を選択することのみと腹を括り、最悪の事態が起きた時の準備をし、天命を待つことでした。結果的に、腫瘍は無事に取れ、病理の結果は良性腫瘍だったため転移の心配もなく、3か月程度の療養期間で、日常生活に復帰することができました。当たり前の日常は、全然当たり前ではないと強烈に気づいた事柄です。
それまでの私は、社会の価値観に流され、「仕事で成功すること」「お金を稼ぐこと」が人生における比重の高さだと考えていました。しかし、死と隣り合わせの経験をしたことで、本当に大切なものは「家族と過ごす時間を増やし、場所や時間に縛られず、自由に選択して生きる」ということでした。
「豊かさの基準」は、一人ひとり違います。社会や他人が押し付ける価値観ではなく、あなた自身が心から「これがいい!」と思える生き方を見つけることが、人生を豊かにする唯一の方法なのです。
復帰してからは、社会から求められるが故に忙しすぎて考える余地がなくなることや、本当はやりたくない分野を頑張ることに疑問を感じ、もっと自分を大切にすることや好きなことに向けて行動することが真の豊かさだと心の底から思ったのです。
「死」を意識することは、決してネガティブなことではありません。むしろ、「限りある人生をどう生きるか」という、人生にとって最も重要な問いに向き合うための、貴重な機会を与えてくれます。
「いつかやろう」「時間がない」
そう言って、本当に大切なことを後回しにしていませんか?
死に直面する機会はなかなか無いと思いますが、人は「死」に向かって生きているので、「自分の幸せに本気で向き合う時間」を、忙しい日々の中で「今すぐ」立ち止まって考え、自分の資源(時間やお金)をどこに分配していくかを考えることは、資格取得やテクニックを磨く前にやるべき大切な作業です。
本を読めば読むほど、自分が無知なことを思い知らされます。全てを知ることは生きている時間軸の中では不可能なので、興味のあることだけを掘り下げていきましょう。「イイヒト」をどこかのフェーズで辞めないと時間ばかりがすぎていき、最終的に誰も喜ぶことができません。
時には嫌われてもいいという覚悟をもち、賛否両論を怖がらない強い意思=豊かさの基準を明確にする必要があります。 やることはやる、できないことは出来ないと意思表示する、という至ってシンプルなことを決めるだけです。「やらないといけない」という幻想を捨て去り、最も大切なものに一点集中することに尽きます。