「なんだかこの場所、落ち着く」「初めて会うけど、波長が合う!」
そう感じることが、あなたにもありませんか? その心地よさは、単なる好みの問題ではありません。実は、あなたの「周波数」と、その場所や人が持つ「周波数」が共鳴し、美しいハーモニーを生み出しているからかもしれません。
私たちの周りにあるもの、目に見えるものも、見えないものも、全ては振動しています。そして、その振動の速さを表すのが「周波数」です。
物理学の世界では、あらゆる物体は、固有の周波数で振動する傾向があるとされています。これを「固有振動数」と呼びます。
例えば、ワイングラスを指で軽く叩くと、澄んだ高い音が鳴りますよね。これは、ワイングラスが持つ固有振動数で振動することで、空気を振動させ、音が発生しているのです。
人間も例外ではありません。私たちの身体や心も、それぞれ固有の周波数で振動しています。そして、その周波数は、感情や思考、周囲の環境によって、常に変化しています。
では、この「周波数」が、私たちの感じる「心地よさ」とどのように関係しているのでしょうか?
ポイントは「共鳴」です。
周波数の近いものが共鳴する現象は、物理学の世界ではよく知られています。例えば、同じ周波数に調律された2台のギターを近くに置くと、片方を弾いていないにも関わらず、もう一方のギターも鳴り始めることがあります。これが共鳴現象です。人間関係においても、これと似たような現象が起こります。あなたと波長の合う人、一緒にいて心地良いと感じる人は、あなたと近い周波数で振動している可能性があります。逆に、何となく合わない、一緒にいると疲れてしまう…と感じる人は、あなたと周波数が大きく異なり、不協和音を生み出しているのかもしれません。
近年、騒音を打ち消し、静寂をもたらす技術としてイヤホンやヘッドフォンに搭載されている「ノイズキャンセリング」が注目されています。
ノイズキャンセリングは、周囲の騒音とは逆位相の音波を発生させることで、騒音を打ち消す仕組みです。
実は、心地よい空間作りにも、これと似たような考え方が応用できます。私たちを取り巻く環境には、常に様々な情報や刺激があふれています。スマホの通知音、街中の喧騒、人間関係のストレス…。これらは、私たちの周波数を乱す「ノイズ」とも言えるでしょう。心地よいと感じる場所は、これらのノイズを自然と遮断し、あなたの周波数を穏やかに整えてくれる、いわば「天然のノイズキャンセリング空間」なのかもしれません。波の音、鳥のさえずり、風の音…自然界の音には、私たちの心を落ち着かせ、リラックス効果をもたらす効果があると言われています。これは、自然界の音が持つ特定の周波数が、私たちの脳波に影響を与え、α波と呼ばれるリラックス状態の脳波を誘発するためと考えられています。
毎日のように見ているテレビやラジオも、実はこの「周波数」を利用して、映像や音声といった情報を私たちに届けています。テレビ局やラジオ局は、それぞれ異なる周波数の電波を使って番組を放送しています。そして、私たちがリモコンのボタンを押してチャンネルを変える時、指定された周波数の電波だけを受信して、いつもの映像や音声が聞こえる仕組みです。そして、これは何も、電波だけの世界に限った話ではありません。私たち人間一人ひとりも、それぞれ異なる個性や価値観、考え方を持っています。それは、いわば「個人の周波数」と呼ぶことができるでしょう。まるで、チャンネルを合わせるように、共感できる価値観、興味関心の合う話題、尊敬できる生き方…
私たちは、無意識のうちに「個人の周波数」をチューニングし、共鳴できる相手を探しているのかもしれません。だからこそ、「この人とは話が合う」「一緒にいると心地良い」と感じる相手とは、自然と深い絆で結ばれていくのでしょう。
私たちは、自分に心地よく波長の合う人や場所を、知らず知らずのうちに求めています。
聞こえるか聞こえないかの世界だけの話ではなく、好きなものに囲まれたり、波長の合う人や環境に身を置く時間を増やすことで、人と人との出会い、そしてそこから生まれる繋がりにも、実は「振動」という不思議な力が働いているのです。