「浮利は追わず」とは、 「目先の利益にとらわれず、長期的な視点で、貢献を積み重ねていくこと」 を意味します。この「浮利」の罠は、至る所に仕掛けられています。
- 「誰でも簡単に1億円稼げる!」といった、誇大広告の副業情報
- 一攫千金を狙う、ハイリスク・ハイリターンの投資話
- 顧客満足度を無視した、強引な営業や販売方法
これらの「浮利」は、確かに、一時的には大きな利益をもたらすかもしれません。しかし、それは、砂上の楼閣のように、脆く、崩れやすいものです。
- 顧客の信頼を失い、ビジネスが長続きしない
- 法律に触れ、社会的制裁を受ける
- 周囲の人から信用を失い、孤立してしまう
など、長期的な視点で見ると、大きな損失に繋がる可能性も孕んでいます。目先の利益に惑わされず、 長期的な視点で物事を判断すること。これが、「浮利を追わず、貢献する」生き方を実践するための、重要なポイントです。
「たらいの法則」 与え続けることで、豊かさが循環する
「与えて、与えて、与え続けると、いつしか自分のためになる」これは、「たらいの法則」と呼ばれる、人間関係における法則です。たらいの中に水を溜め、自分の手前に水を掻き寄せても、一時的に水が溜まるように見えても、すぐに流されてしまいます。しかし、人の背中を押す「貢献」のように水を押し出すと、その水が循環し、結果的に、自分のところに水が返ってくるようになります。返報性の原理でも相手から何かを受け取ったときに「お返しをしないと申し訳ない」という気持ちになる心理効果が生まれるので、お金を対価として受け取るだけでなく、目に見えない信用資産としても返ってきます。これは、人間関係やビジネスにも当てはまります。
- 相手の成功をサポートする
- チームに貢献する
- 社会に役立つ情報を発信する
など、 「与える」行動を継続することで、やがて、その「好意」や「善意」が巡り巡って、あなた自身の元に返ってくるのです。これは、「社会全体の利益を追求することが、結果的に、自分自身の利益にもつながる」という考え方です。そして、この考え方は、現代のビジネスの世界においても、「CSV(Creating Shared Value:共通価値の創造)」という概念として、注目を集めています。
「貢献」は、一見、遠回りで、効率が悪く思えるかもしれません。しかし、「貢献」を通して、私たちは、
- 人からの信頼
- 社会とのつながり
- 自分自身の成長
など、「お金」では買うことのできない、かけがえのない価値を手にすることができます。与える人が、最終的に豊かになるのです。
ギバーとテイカーの存在
社会心理学者アダム・グラントは、著書「GIVE & TAKE 「与える人」こそ成功する時代」の中で、人を「ギバー(与える人)」「テイカー(奪う人)」「マッチャー(損得で動く人)」の3つのタイプに分類しています。
- ギバー: 見返りを求めずに、他者に貢献することに喜びを感じる人
- テイカー: 自分の利益を最優先し、他者から奪うことばかり考えている人
- マッチャー: 損得を計算し、ギブアンドテイクを重視する人
そして、「最も成功するのは、ギバー(与える人)である」と結論付けています。ギバーは、周囲の人から信頼され、協力者を自然と集めることができるため、長期的な視点で見た時に、大きな成果を収めることができるのです。しかし、「ギバー」は、時に、その「優しさ」や「貢献心」を利用され、搾取されてしまうことがあります。
そのため、「ギバー」は、
- 自分の「貢献」によって、誰を幸せにしたいのか?
- どんな未来を創造したいのか?
という、 自分自身の「センターピン」 を明確に持つことが重要です。そして、そのセンターピンに沿って、「貢献」活動を行っていくことが搾取されないための知恵です。