セロトニン・オキシトシン・ドーパミンの黄金比現代社会では、多くの人が「ある間違った順番」で幸せを追い求めているため、心身の健康から遠ざかってしまっている可能性があります。
私は頭部腫瘍を発症した当事者となったことで、体の仕組みについて徹底的に調べました。ここでは、脳科学に基づいた「健康へのメカニズム」を解き明かし、心身ともに健康で、より豊かな人生を送るための「幸せの処方箋」をお伝えします。
精神科医の樺沢紫苑氏は、著書「精神科医が見つけた3つの幸福」の中で、「幸せ」を感じるときには、ドーパミン、セロトニン、オキシトシン、エンドルフィン、アドレナリン、ノルアドレナリン、GABAなど、100種類以上の「幸福物質」が分泌されていると述べています。そして、これらの幸福物質を、それぞれ異なるタイプの「幸福」と結びつけ、以下のように分類しています。
①ドーパミン的幸福: 目標達成、成功、報酬などによって得られる、興奮や快感といった「高揚感」を伴う幸福。
- 例:昇進、収入アップ、難しい試験に合格、欲しいものを手に入れる etc.
②オキシトシン的幸福: 人との愛情や絆、信頼関係、親切心、感謝の気持ちなどによって得られる、心が温まるような「安心感」や「つながり」を感じる幸福。
- 例:家族との団らん、恋人とのデート、友人との会話、ボランティア活動 etc.
③セロトニン的幸福: 太陽の光を浴びたり、リズム運動、呼吸法などによって得られる、穏やかで心地よい「心の安定」や「爽快感」を感じる幸福。 例:朝の散歩、ヨガ、瞑想、自然と触れ合う etc.
現代の日本人は、特に「ドーパミン的幸福」を過剰に追い求める傾向にあります。
すなわち成果や報酬を最優先に追い求めすぎて「仕事で成功したい」「お金持ちになりたい」「もっと認められたい」と渇望しています。もちろん、これらの欲求を持つこと自体は悪いことではありません。しかし、ドーパミン的幸福を追い求めるあまり、以下のような状態に陥ってしまう人が後を絶ちません。
- 働きすぎ: 長時間労働、休日出勤を繰り返し、心身に大きな負担をかけてしまう。
- 人間関係の希薄化: 仕事や成果を優先するあまり、家族や友人との時間をおろそかにしてしまう。
- 心身の不調: ストレスや睡眠不足が慢性化し、うつ病、不安障害、自律神経失調症などのリスクを高めてしまう。
生活していく上でこのような気持ちが生まれることは当然と言えば当然ですが、ドーパミン的幸福を優先しすぎると、人間関係を蔑ろにし、心身の健康を無視して働くことで病気になることも少なくありません。
忙しさに追われ続け、自分自身のための時間すら確保できない生活を過ごすことは本当に正しいのでしょうか?健康を犠牲にしてまで働く意味はあるのでしょうか?セロトニンレベルが低下すると、不安定になり、攻撃性が高まったり、不安やうつ、パニック障害などの精神的な問題を引き起こす可能性があるとされています。このような状態になると、コミュニティのつながりを維持したり、仕事はおろか日常を過ごすことさえ難しくなります。忙しすぎる日々では、このような状況に疑問を感じることさえも出来なくなってしまうのです。