「お金の話」と聞くと、なぜだか嫌な感情が芽生えることが多いようです。みんな使うルールなのに、学校では教えてくれないという自己責任で学習しないといけない分野ですよね。
みなさんお仕事をしていると思いますが、お金があるといろいろと楽ですよね。お金があれば仕事もプライベートも選択する余裕ができますし、生活にかかわることが大抵お金で解決できるようになってきています。
ただし、お金というものに固執したために人生が狂ってしまったりとか、お金よりもっと大事なものを見失ってしまったりといった失敗談もよく聞きます。そう考えるとお金ってすごい力を持っているなと思います。
お金と幸福度は比例するとは限らない
『happy money』という非常に面白い本があります。幸福を研究する第一人者というエリザベス・ダンとマイケル・ノートンの2人の著書です。この二人があらゆるデータを明快に使い「お金で幸せを買えるか」について徹底的に調べあげ、まとめています。
その本によると、年収250万円の人が2倍の500万円稼ぐようになったからといって、比例して幸せが2倍にはならないそうです。年収が上がった場合の幸福度の上昇は、パーセンテージでいえばわずか9%らしいのです。金額は倍になったのに、幸福度が9%しか上がらないのはなぜなのでしょう?
「年収が高い=幸福度が高い」ではない
年収が750万円を超えてくると、それ以上年収が上がっても幸福度に大きな影響はないそうです。確かに年収750万円ぐらいあると、「焼き肉食べたいな」と思ったら焼き肉食べられるし、「旅行に行きたいな」と思えばすぐ行けるようになるでしょう。
日常生活とは別に「これを買いたい」「こういう場所を作りたい」など、いろいろ夢、目標があったりすれば足りないものも出てくるかもしれないけれども、そうでない場合は年収750万円ぐらいを目安に頑張るのはいいのかもしれないですね。とは言っても、日本人の平均年収は約400万円です。じゃあ年収750万円以下の人は、不幸せなのかというとそうではありません。先進国では特に生きていくのには困らない状態です。人類が長らくチャレンジした結果で「生きる」という目標はクリアしたにもかかわらず、体を壊しながら四六時中ずっと働いてお金を稼いだとしても、幸福度ってもうそれ以上は上がらないのだから、年収を上げるだけが人生の全てではないと思うのです。
お金はコンセプトであり、共同幻想だ
世界中資本主義ルールなのでお金のルールについては理解した方が、現代を生きるには楽ですし、マスターすべきカテゴリだと思います。
とはいえ、お金の本質は「信頼を数値化」した便利な交換する仕組みに過ぎないと感じます。信頼のある人やサービスに対して、お金という評価が紐づいてくるだけであります。かつて物々交換の時代もあったと思いますが、時期や状況によって価値が変動してしまうと都度調整しないといけなくなってしまいますよね。その評価を統一化したものがお金の仕組みではないでしょうか?「100円」で「コーヒーが購入できる」という「信頼をわかりやすくした」道具だと思うので、縛られ過ぎずに攻略することが大切です。
未知を知ることで、幸福度が上がる
また、その本の中で「幸福度はどうしたら上がるのか?」という疑問に対して著者は「何よりも経験だ」と答えています。
旅行に行けば今まで自分が知らなかったことを知ることになり、体験価値が多くなれば多くなるほど幸福度が上がっていくということなのです。この考えには僕も大賛成です。
例えば、僕がこれを読んでくれているあなたに今100円を振り込んだとしても、そんなにうれしくないはずです。逆に「なんだこれ、なんだか怪しいな」と思うかもしれません。何を言いたいかというと、新しい体験ならなんでもいいわけではないということです。旅行に行ったときのあの高揚した気分や幸福感は何にも変えられないものがあります。それは知らない価値観に触れたときに上がる体験価値に対する体の反応であり、幸福度を高めてくれる貴重な経験なのです。
豊かさは自分の物差しで測る
今まで闇雲に「お金を稼ごう」といったマインドでずっと働き続けるというのはちょっと違うという事に気付き、自分にとって豊かなラインはどこなのかを考えるきっかけになったら嬉しいです。
例えば、週4日休んで3日働くパターンで、実際の年間コストが300万円とか400万円ぐらいだったとなれば、そのぐらい稼げばいいから休みの多いほうが豊かだよねっていう価値観もあって、僕は全然それでもいいのかなと思います。
特に日本だと平日にふらふらしていると「あの人、仕事してないの?」と怪訝な顔をされるかもしれません。社会的少数者すなわちマイノリティであればそう見られるのも仕方ないのかもしれませんが、自分の豊かさの基準にマッチしていて、そういう働き方をしているのであれば僕はOKなのかなと思います。
マズローの5段階欲求があっているとすれば、最高値が「自己実現」と定義されているので、豊かさは自分の物差しで測ることがとても重要で、その自分なりの定義を徐々に創っていくことが人生なのかもしれません。
ありたい姿を定めて生きる
例えばスキー好きで、とことんスキーを中心に生活している人の場合、スキーシーズンは一切働かないでスキー三昧。その分、一年分の収入を夏の間に稼いでしまうのです。
このように、一番大切なのは自分がどういう状態になりたいかにフォーカスすること。そこから逆算してコストを出し、それを達成するためには何をやればいいのか、というマインドを持つことだと思っています。
積み上げ型でどんどんお金を稼いで、そのあと考えるのもあると思うのですが、目標が定まっていたほうがずっと楽です。行動指針があることで判断も容易になってくるでしょう。
総じて言えることは、やはり幸福というものは、必ずしも持っているお金の額に比例するわけではないということです。お金を稼いだ上で、自分自身がどんな状態にあると幸せを感じられるのかを理解し、理想の状態に近づいていくことが必要になるのです。生活の中でいろいろな事を経験し、体験価値増やしていくことが幸福度を上げるのにとても大切という事を常に心にとめておきたいものですね。
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