スタートアップ企業の成功法則として、「リーンスタートアップ」という考え方があります。これは、「完璧な製品やサービスを開発してから市場に投入するのではなく、まずは、必要最小限の機能を持った MVP(Minimum Viable Product:実用最小限の製品)を開発し、顧客からのフィードバックを得ながら、改善を繰り返していく」という手法です。このリーンスタートアップの考え方は、まさに、「小さく始める」ことの重要性を示唆しています。
小さく始めることで、
- 迅速な意思決定: 大企業のように、複雑な手続きや承認プロセスに時間をとられることなく、スピーディーに意思決定を進めることができます。
- 柔軟な方向転換: 市場のニーズやトレンドの変化をいち早く察知し、柔軟に事業の方向転換を行うことができます。
- 低リスクでの試行錯誤: 多額の投資を行う前に、低コストで、様々なアイデアを試行錯誤することができます。
など、多くのメリットを得ることができます。スピード感を持って失敗を恐れずに取り組み、事業が伸びた段階で人や資金を投入するのが効率的です。一方、大規模な組織になると、
- 意思決定のスピードが遅くなる
- 部門間の連携が難しくなる
- 組織全体の硬直性が高まり、変化に対応しにくくなる
といった問題が生じやすくなります。売上や利益を追い求め続けないと維持ができなくなり、本来やらなくていいことに時間も体力も使ってしまいます。
これは、まるで、小回りの利く小型船と、巨大なタンカーの違いと言えるでしょう。小型船は、変化の激しい海を、機敏に動き回りながら、航路を切り開いていくことができます。しかし、巨大なタンカーは、一度動き出すと、方向転換するにも、停止するにも、大きなエネルギーと時間が必要です。
現代のように、変化の激しい時代においては、 「身軽さ」 と 「迅速さ」 こそが、生き残るための最大の武器となるのです。
本当に必要なものだけに集中するミニマリズム
ミニマリズムは、「本当に必要なものだけを選び抜き、シンプルに生きる」 というライフスタイルです。物質的な豊かさではなく、 「精神的な豊かさ」 を重視する考え方であり、近年、多くの人から支持を集めています。そして、このミニマリズムの考え方は、ビジネスにも応用することができます。事業を拡大していく過程では、
- 新しい設備投資
- 人員増加
- オフィス拡張
など、様々な「コスト」が発生します。しかし、本当にそれらが必要なのか?常に自問自答し、 「本当に必要なもの」 だけを選び抜くことで、規模の大きさではなく、 「変化への対応力」 そして、 「持続可能なビジネスモデル」 を構築することです。
例えば、
- グローバル企業である Amazon は、最初は、オンライン書店という小さなビジネスからスタートしました。
- Facebook も、ハーバード大学の学生寮で生まれた、小さなソーシャルネットワーキングサービスから始まりました。
これらの企業は、 「小さく始めて、顧客の声を聞きながら、サービスを改善し、徐々に事業を拡大していく」 というアプローチによって、世界的な企業へと成長を遂げることができたのです。
「小さく始める」ことは、決して、「小さくまとまる」ことを意味するわけではありません。
むしろ、 「小さく始めて、大きく育てる」 ことこそが、持続可能な成長モデルで、最も賢明な戦略と言えるでしょう。
身軽であれば必要な年間ミニマムコストをしっかりと把握し、目標を達成したらペースを落とすという選択肢をとることもできます。もちろん、経営方針は千差万別で拡大に必要な大きな資金投入をする企業もありますが、テクノロジーが加速的に進んだ昨今、大規模投資も不要で小さくすぐにスタートすることができる時代です。うまくいかない時でも撤退の判断も早くすることができるので潰れにくくなり、軌道に乗った場合は小さな力で大きな対価を得ることができます。これはフリーランスや経営者のみならず、プライベートな家計にも使える考え方です。様々な家庭事情があると思いますが、サラリーマンとして安定した生活を送りながら副業を通じて、多様な興味やスキルを追求することや、起業して新たに挑戦することで小さな狼煙をあげていきましょう。