2011年3月11日、東日本を襲った未曾有の大震災。
そして、2020年から世界中を混乱に陥れた新型コロナウイルス感染症のパンデミック。
これらの未曾有の出来事は、私たちの社会、そして、一人ひとりの価値観に大きな変化をもたらしました。それは、物質的な豊かさや経済至上主義が当たり前とされてきた時代から、人と人とのつながり、心の豊かさ、そして、健康というかけがえのない価値に改めて目を向ける、大きな転換点となったのです。
未曾有の被害をもたらした東日本大震災。
その傷跡は深く、今もなお多くの人々が心の傷を抱えています。
しかし、この未曾有の災害は、同時に、私たち人類の強さ、そして、「人と人とのつながり」の尊さを改めて浮き彫りにしました。被災地では、見知らぬ人同士が助け合い、支え合いながら、共に困難を乗り越えようとしました。全国からボランティアが駆けつけ、瓦礫の撤去や物資の支援、そして、被災者の心のケアなど、それぞれの立場で復興に尽力しました。
震災前の日本社会は、経済成長を優先し、物質的な豊かさを追求する一方で、心のつながりが希薄になりつつありました。
人々は、より高い目標を追い求め、より多くのものを手に入れようとする「ドーパミン的幸福」に偏重し、心の安らぎや人間関係の温かさを置き去りにしていたのかもしれません。
しかし、震災という未曾有の困難に直面した時、人々は、物質的な豊かさよりも、「人と人とのつながり」の大切さに改めて気づかされました。共に悲しみを分かち合い、助け合い、支え合う中で、人々は心のつながりを取り戻し、心の安らぎを感じることができたのです。
2020年以降、世界を席巻した新型コロナウイルス感染症のパンデミック。この未曾有の危機は、私たちの生活を大きく変え、社会システムの脆弱性を露呈させました。ロックダウン、外出制限、ソーシャルディスタンス – 人々の行動は制限され、経済活動は停滞し、世界中が不安と恐怖に包まれました。
しかし、この危機は同時に、私たちに「健康」こそが何よりも大切なものであることを再認識させました。これまで当たり前のように享受していた日常生活、そして、健康な身体と心の大切さを、私たちは改めて痛感させられたのです。パンデミックを機に、健康に対する意識は世界的に高まりました。健康的な食生活、適度な運動、十分な睡眠など、健康を維持するための基本的な生活習慣が見直され、メンタルヘルスへの関心もかつてないほど高まりました。
また、医療従事者など、最前線で働く人々への感謝の気持ち、そして、社会全体のWell-being(心身ともに健康で幸福な状態)を実現することの重要性が広く共有されるようになりました。パンデミックが浮き彫りにした「健康」という普遍的な価値に気付かされたのです。
震災とパンデミックは、私たち人類に多くの課題を突きつけると同時に、新しい時代への道を示してくれた大きな転換点と言えるでしょう。私たちは、物質的な豊かさや経済的な成功だけを追い求めるのではなく、「人と人とのつながり」の大切さ、「健康」の大切さ、そして、「経済」の大切さ、を絶妙なバランスでリデザインすることが、これからの時代の選択です。