SDGs(エス・ディ・ジー・ズ)という言葉、最近テレビなどでもよく使われるようになりました。皆さんも内容までは詳しく知らなくても一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか?SDGsとはSustainable Development Goalsの略で「持続可能な開発目標」という意味です。これには17個の世界目標が掲げられているのですが、なぜこういったものを世界的な目標にしなければならなかったのでしょう。
主な理由は「地球は今、限界を迎えている」から。
世界規模で抱えている問題を改善するためにこのSDGsが定められました。以前よりも災害が増え、温暖化はますます進んでいます。実際に生活の中でも、その影響をリアルに感じられるようになったのではないでしょうか?日本でいえばスコールのようなゲリラ豪雨が頻繁に起こるようになったり、山火事が止まらなかったり、地震やそれによる津波が起きています。
経済成長の犠牲となった地球
人間がお金という指標を稼ぐために地球の自然を破壊し、資源を大量に消費する。そういった破壊と消費の引き換えに貨幣を得ていた時代がまさに高度経済成長の時期です。結果として高度成長期の日本は、諸外国にも例を見ない急速な経済成長を遂げ、経済成長率が年平均10%を越えました。それによって人間が暮らしやすくなったというのは確かですが、ゼロサムゲーム、どこかを破壊してどこかが得をするような状態になっていたと個人的には考えています。
ゼロサムゲーム:「ゲーム理論」と呼ばれる経済理論の用語。参加者の得点と失点の総和(サム)が0(ゼロ)になるゲームのことを指す
引用:野村証券 証券用語解説集
元の状態に戻ろうとする力は、地球にもある
地球も身体も一つの要素から成り立っているわけではなく、身体についていえば多くの細胞から構成されています。生物のもつ重要な性質のひとつに、恒常性(=ホメオスタシス)というものがあります。ホメオスタシスとは、身体の内部や外部に変化があっても身体を一定の状態に保とうとする性質のことです。気温にかかわらず体温を36度ぐらいに保とうとしたり、ケガをしても自然に治そうとしたりしますが、そういうプログラムが生まれながらにして身体に組み込まれているわけです。
地球もこれと同じような性質(機能)を持っているのではないでしょうか。
地球上の「自然」や「人間」を身体の個々の細胞と捉えると、人間が環境破壊を繰り返す行為は、いわば一部の細胞が自ら身体を蝕んでいる状態に似ているような気がします。
先ほどホメオスタシスは、身体を元の状態に戻そうとする性質だと言いました。地球も同じように、地球環境を定点に戻そうとする機能が備わっていて、それが災害という形で現れているのかなと思っています。
地球をさらに大きく俯瞰の目で見てみると、地球は宇宙を構成する要素の一つといえます。ですから、地球自体も宇宙の中において何かの役割を果たしているのかなと考えたりもします。
コロナウイルスがもたらした環境への好影響
SDGsが世界共通の目標として掲げられた今、これまで以上に世界中の人々の意識が環境保全に向けられるようになりました。また、今回のコロナ禍によって、外食や旅行などの活動や移動の自粛などによって、地球環境へ好影響をもたらしたというニュースもあります。
例えば、交通量が減るとともに無駄な排気ガスが出なくなったことや、スモッグが減ることで星がきれいに見えるようになったことが挙げられます。コロナウイルス自体は人類にとっては害ですが、地球にとってはいろいろな形で利益をもたらしているのも事実でしょう。
集団構成の2:6:2の割合、パレートの法則
少し話がズレますが、「2:6:2の法則」はご存じでしょうか?2:6:2の法則はパレートの法則から派生したものといわれています。会社組織など集団が形成されると、その集団の構成割合は上位2割、真ん中の6割、下の2割に分かれているという考え方です。
これはアリの集団にも当てはまり、上位2割が働きアリとしてよく働き、6割は普通程度、残りの2割は働かないという具合に分かれるらしいのです。
人間社会では会社だけでなく地域団体や部活などもおそらく同じことが言えそうですね。実際に僕の身のまわりでもこの法則が当てはまっていることが多い気がします。皆さんの属しているコミュニティではどうでしょうか?
パレートの法則とは:イタリアの経済学者ヴィルフレド・パレートが発見した冪乗則。経済において、全体の数値の大部分は、全体を構成するうちの一部の要素が生み出しているとした。80:20の法則、ばらつきの法則とも呼ばれる
引用:フリー百科事典 ウィキペディア日本語版
「腸内細菌の構成」と「人間社会」は似ている
「腸内フローラ」に注目していて、自分自身の健康への意識もしています。この「腸内フローラ」とは密集した細菌の状態を指しています。
人間の腸内(主に小腸と大腸)には多種多様な細菌がいて、その数は100兆個あるといわれており、それぞれがバランスをとりながら腸壁などに密集して生息しています。※引用:厚生労働省 生活習慣病予防のための健康情報サイト「腸内細菌と健康」
この密集した細菌を顕微鏡で見るとお花畑のように見えることから腸内フローラと呼ばれているわけです。
このような多様性のある細菌の集団にも2:6:2の法則が当てはまり、2割が善玉菌、6割が日和見菌、残り2割が悪玉菌という構成になっています。
善玉菌と悪玉菌についてはご存知の方も多いかと思いますが、善玉菌は身体に有益な働きをし、悪玉菌は増え過ぎると害をもたらします。
日和見菌は、普段は身体にとって特別な働きをしているわけではありませんが、善玉菌と悪玉菌どちらかが優位になると優位になった側の菌を助ける働きをします。
人間社会に目を向けてみても同じことがいえそうです。世論が割れ、勢力が拮抗(きっこう)していても一気に流れが傾くことがあります。このことから、日和見菌に似た動きが人間の世界でも起きていることがうかがえます。
このように人間・アリ・細菌、異なる生体でもそれぞれの集団を観察してみると構成割合が共通しています。また、地球と身体、全く次元の異なるものでも、元の状態に戻そうとする機能を備えているという点で実は共通しているのではないかと思うのです。
本来の状態に戻ろうとする過程
人間には身体を一定の状態に保とうとするシステムが備わっています。外的・内的変化に対応して身体を元の状態に戻そうとするのですが、この性質を恒常性(ホメオスタシス)といいます。
人類は、環境破壊を原因とする自然災害に頻繁に見舞われるようになり、また、今まさにコロナウイルスによって世界経済が打撃を受け人々の生活が一変しました。
その一方で今回のパンデミックをきっかけとして、地球環境が改善したという事実があります。しかし、これはコロナ自粛によって偶発的にもたらされた事象であり、改善しようとして生まれた結果ではありません。今後、この状況を継続してくために出来ることを考え行動することが大切だと思います。
自然災害やパンデミックが実は地球が本来の姿に戻ろうとしている過程だと解釈すれば、人間同様、地球にもホメオスタシスという恒常性機能が備わっているのかもしれません。
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