一言に「豊かさ」といってもいろいろな捉え方があります。今回はお金を持っていることの豊かさ、心の豊かさ、それらを中心に考えていきたいと思います。
テーマに対する結論から言うと、
ステップ1:心身の健康…心と身体の体調を整える
ステップ2:愛やつながり…仲間や家族とのつながりをしっかり持つ
ステップ3:お金や成功…結果(お金)を求め仕事をする。目標達成に向けて行動する
上記3つを順番にやっていくということです。
これは樺沢紫苑(かばさわしおん)さんの著書『精神科医が見つけた3つの幸福』の中で述べられていたことです。この本は、今まで僕が思っていたことを言語化してくれたような内容で、胸に突き刺さるほどの衝撃を受けました。とてもいい本なのでぜひ皆さんも読んでみてください。今回はこの本の中から特にお伝えしたい部分を一つ抜き出し、レビューしたいと思います。
成果を求めすぎる働き方
幸福には3種類あって、それらを優先度順に並べると次のようになります。
①セロトニン的幸福…心と身体が健康であることで得られる幸福
②オキシトシン的幸福…他者との交流など人間関係から生まれる幸福
③ドーパミン的幸福…何かを得たり達成したりすることによって得られる幸福
これを前提に現在の日本人の働き方を見ると、優先順位が逆になっているのではないでしょうか。ドーパミン的幸福が最優先されている、つまり成果(お金)を追い求めすぎているということです。幸福について考えるとき、多くの人がこのドーパミン的幸福しか考えないと言います。「会社で認められたい」「お金持ちになりたい」「プロジェクトで成功したい」といった欲求は全てドーパミン的幸福です。ただ、生活していく上でこのような気持ちが生まれることは当然で、何かを成し遂げる為の原動力になるかもしれません。しかしこういった欲望を優先しすぎると、家族、友人とのつながりがおろそかになり、最後には心身を壊してしまい何もできなくなるという方もいます。コロナ禍の前は特にそのような傾向があるように感じられました。これでは著者の主張と真逆になってしまいますね。
なぜ心身の健康を最優先するべきか
自分自身の健康を考えた場合、まず心身を整えなければなりません。何をするにもベースがしっかりしていないとダメですから、心と身体が健やかな状態であることが第一です。
次に、コミュニティなどつながりを持つこと。僕でいえば、家族、オフィスの仲間、オンラインサロンの仲間、あとは商工会議所の青年部やバスケットチームにも所属しているので、自分が居心地の良いコミュニティ内でつながりを持ち、交流し、支え合うことが大切になってきます。
心身が健康であるということは、身体的な安定と心理的な安定を指しますが、コミュニティに所属していることは特に心理的な安定には欠かせないものだと思っています。なぜなら、人とのつながりを大切にしていれば何かあったときに助けを求めることができるからです。
いざというときに助けを得られるという心の支えは、気持ちに余裕が生まれます。そのように安定した心理状態のなかで仕事の成功や目標の達成を目指すことで、より良い結果を得られるのではないでしょうか。
そのためにもベースとなるセロトニン的幸福(=心と身体の健康)を最優先に考えるべきです。セロトニンが低下すると、不安定になりバランスを崩すことで、攻撃性が高まったり、不安やうつ・パニック症(パニック障害)などの精神症状を引き起こすといわれています。※引用:厚生労働省 生活習慣病予防のための健康情報サイト
そのような状態に陥ってしまうと、そもそもつながりを持つ場に行くことすらできなし、働くこともできません。
お金を追い求めた時代と転換期
ドーパミン的幸福と聞いてまず思い浮かんだのが、日本における1980年代から2000年ぐらいまでの経済的な豊かさです。振り返って考えてみると、お金を稼ぐことに一生懸命になっていた時代だったような気がします。そして、そのようなドーパミン的幸福を最優先に追い求めた時代の名残が現在にも残っているように思えてならないのです。
2011年に東日本大震災が起き、このときに私たちは人とのつながりの大切さを再認識しました。それまでのドーパミン的幸福(=お金の幸福)に対する強い意識が薄まり「やはりコミュニティ、家族は大事だ」と思う人も増えていったはずです。
そしてまさに今、コロナウイルスのパンデミックによって世界中の人たちが健康の大切さを強く意識するようになりました。言い換えるとセロトニン的幸福の大切さを再認識するフェーズに入っているということです。
心と身体の健康が豊かさにつながる
連日のようにコロナ関連の情報に触れ、心身共に疲弊している人も多いと思います。コロナ疲れが意識される今こそ、心と身体の健康が豊かさの基礎となるのでしっかり整えていきたいものです。
時代の流れとも言えますが、「健康」というベースがあって、次に「つながり」があって、そして最後に「お金」を追い求めるといったライフスタイルが真の豊かさではないかと僕は思っています。ただ、人によって豊かさの定義は異なる場合もあると思います。お金があればいろいろとショートカットできるし、便利なので必要なツールであることに違いはないのですから、その人それぞれの定義で問題はないと思います。
マズローの5段階欲求という話もこれまでの内容と少し似ているところがあります。それぞれの欲求は次のように定義されています。
①生理的欲求…生命を維持したい
②安全の欲求…身の安全をまもりたい
③所属と愛の欲求…他者と関わりたい、集団に属したい
④承認欲求…自分を他者から認められたい
⑤自己実現の欲求…自分の能力を創造的にしたい、至高な体験をしたい
このピラミッドモデルは一番下の階層から順に、生理的欲求、安全の欲求、所属と愛の欲求、承認欲求、自己実現の欲求となっています。人間の持つ欲求を5つに分け、5階層のピラミッド状に構成することで表されているのです。
5つの欲求が満たされても不満を持つ日本人
農耕など食料の獲得手段は長い時間を経て発展してきました。そのおかげで現在は食べるのに困ることはありません。世界の穀物生産量は毎年26億トン以上もあり、備蓄分も含めると世界中の人が十分に食べられるだけの食料は確保できます。(ただし、数字の上では問題がなくても現実には一人ひとりにきちんと行き届いていないという課題が残されています)※引用:みんなで食べる幸せを「世界の食料問題」
課題はありますが、ほとんどの場合、生命を維持したいという生理的欲求は満たされているといってよいのではないでしょうか。他の欲求についても考えていくと、人類は5つの欲求のうち生理的欲求、安全の欲求、所属と愛の欲求あたりまではほぼクリアできているように思います。
しかし、日本人の50%ほどは生き方や働き方に不満を持っています。さらに残念なことに、自殺者の数も多いというのが日本の実情です。命がけで狩りに出なくても食料にありつけますし、夜は安心して眠れます。家族がいて団らんを楽しむこともできます。私たちは、このような人類が長い間夢見続けてきた生活を獲得できたわけですから、本来は幸せであるはずです。しかし、自分たち人間が決めたルールに縛られ、自ら苦しんでいる人たちが後を絶ちません。この状態はかなり異常だなという気がしてならないのです。
「らしさ」があふれたら、幸福度が上がる
お金の指標は分かりやすいが故に、個人の収入がそのままその人の能力を測るものさしになりがちです。そのため、人のお金に対する価値観が必要以上に上がってしまったことでプレッシャーとなり苦しく感じる人が多くなるのではないでしょうか。このような現状に鑑み今回のようなテーマを取り上げてみました。
今までの結果や成果を求めた時代から脱却し、まず心身の体調を整え、そしてつながりを大切にしつつ、その上で仕事をするという時代へ…今はちょうどその過渡期なのかなと僕は思っています。
ビジョンである「らしさあふれる世界」は、個人の「らしさ」が解放されていけばいくほど幸福度が上がっていくという考えから掲げています。
僕は、マズローの5段階欲求の一番上「自己実現の欲求」が表現できるような人生だと幸福度は上がるような気がしています。なぜなら、個人的にそういう人たちと付き合っていると、とても面白く、数多くの学びがあり、そしてなにより楽しく充実した時間を過ごせているからです。
何かを我慢しながら生きていくのではなく、自分がハッピーだなと思える仕事をして、自分らしいライフスタイルを送っている…そんな人たちがこれから増えていってほしいという願いを僕は持っています。Playnではその願いを実現させるべく、自分らしさを解放できるようなサービス、プロダクトをどんどん生み出していくつもりです。
理解し達成していくことが、真の豊かさへの近道
豊かさを求めるとき、やみくもに追い求めると逆の結果を招きかねません。目の前の成果や欲求だけに左右されず、自分の「らしさ」を表現できる場所を見つけましょう。幸福は3つの種類に大別することができ、3つの幸福をそれぞれきちんと理解して、優先順位を意識しながら順に達成していくことが真の豊かさへの近道となるはずです。
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