今、世の中は状況が悪く、環境も変わってきました。それに伴い皆さんも変わっていかなければならない時期がきたのかもしれません。しかし、人は分からないこと、未知なものに対する恐怖心があるので、変わることに慎重になってしまいます。
そこで、自分にとってギリギリのライン、つまりたとえ落ちたとしてもこれ以上は落ちきらないといった最低のラインを事前に知っておくといいかもしれません。そうすることでポジティブな気持ちで変わっていくことができるのではないかと思っています。
お金の最低ラインは事前に勉強しておくべき
引くべき最低ラインは大きく3つです。
1つ目は「お金」の最低ラインです。おそらくほとんどの方にとって恐怖心を抱きやすいところではないでしょうか。
僕は会社を始める前「家族がいるのに借金100億円くらいになって潰れたらどうしよう。首をつって死ななきゃいけないのかな」など、ネガティブなことを考えてしまいがちでした。そこで、会社を始める前にお金についての最低ラインを調べてみることにしました。
すると、借金が100万円であろうが100億円であろうが、結局潰れるときは潰れるし、金額は違っても処理は一緒であるということが分かってきました。また、自己破産したとしても、日本には生活保護というシステムがあり、再始動も可能であることを改めて認識できたことで「やるだけやってみるか、うまくいけば最高だし、失敗しても再起可能」と前向きな気持ちになれました。
人間が他者から認められたい、自分を価値ある存在として認めたいという承認欲求をもっている生き物である以上、自己破産や生活保護に対する他人の目が気になることもあるでしょう。もしかすると、周りからの信頼を失うことになるかもしれません。そうだとしても、決して死んでしまうわけではありません。失敗してもまた挑戦し、やり直せばいいだけです。僕は、このように最低限のラインを把握してからビジネスをやるようにしています。
では、病気になってしまった場合はどうでしょう。僕は以前、脳腫瘍を患ったのですが、そのときの医療費が手術代などを含め総額1000万円ほどでした。しかし、日本には高額医療費制度が設けられており、本人の収入に応じて支払い限度額が決められています。ですから、実際には数十万円の出費で済むのです。もはや任意の医療保険もあまり必要ないのでは?とも感じたのは事実です。
このように、日本は社会保障制度が充実しており、医療費において我々の健康は担保されています。こういう面からみても、私たちの周りには挑戦しやすい環境が整っているということがあらためて分かるかと思います。
心の最低ラインは、チューニングして保つ
2つ目が「心」の最低のラインです。
自分がこういう状態になったらもうやばいと感じるラインは、誰でも自分の中に持っていると思っているのではないでしょうか。
僕はストレスはゼロにすることは絶対できないが、調整は可能なものだと認識しています。なので、コントロールできる場所や事柄を普段から持つことが重要だと意識して生活しています。
心と身体は密接に繋がっているので、僕の場合はストレスが溜まってきたなと思ったらサウナやキャンプに行ったり、運動をしたりしてストレスを発散させ、自律神経やサーカディアンリズムをニュートラルな状態に持っていき平穏を保つようにしています。
運動をすると気分がすっきりすることは皆様も体感していると思います。では、それはなぜだと思いますか?ストレスが解消されるから、筋肉の緊張がやわらぐから、あるいは、脳内物質のエンドルフィン(脳の中心部にある下垂体が作り出すホルモン。痛みやストレスが加わったときに放出され、痛みを和らげる作用をもつ)が増えるからなど、様々な理由が考えられますが、運動で爽快な気分になる本当の理由は、心臓から血液が盛んに送り出され、脳がベストな状態になるからです。
脳をベストな状態に保つためには、運動をする必要があります。運動をすると、セロトニンやノルアドレナリンやドーパミンをはじめとする、思考や感情に関わる重要な神経伝達物質が増えます。引用:運動をするとなぜ脳がすっきりするの?sport motivation
体の最低ラインを保つ
3つ目の最低のラインは「体」です。
僕はトライアスロンに出ると決まったことがきっかけで、ジムやプールに行くようになりました。よく走るようにもなりました。そうやって体を鍛えるようになってから2、3カ月もすると明らかに体つきが変わってきて、シャープになった感じがします。
今はトライアスロンのためだけに鍛えているのではありません。
人は老化する生き物なので、年齢とともに徐々に体の動きが劣っていき、いずれは思うように体が使えなくなるときがきます。ですから、僕のトレーニングには身体をなるべく長く使える状態に保つ目的が含まれているのです。
健康体でいられるように、長い時間使える体を保つために投資をしているといった感じでしょうか。
トライアスロンの出場を決意したのには、いろいろなご縁があったことがその理由として挙げられるのですが、いつかやろうと先延ばしにしていた体を保持する最低ラインを保とうと考えたことも大きな理由の1つだったのです。
3つの最低ラインをクリアして、らしく生きる豊かさ
以上の3つ、「お金」「心」「体」これらの最低のラインを把握しておくことで、VUCA時代を乗り切ることができると考えています。つまり、今の世の中のように先が読めない、いきなりルールが変わってしまうような混沌とした社会においても、最低のラインを保ってさえいれば、そのラインさえクリアできていればなんとかなるということです。
ここに挙げたように、保障のしっかりした日本にいるかぎりは困った事態になったとしても必ずなんとかなりますので、「死ななければOK」というぐらいの感覚で大丈夫な気がします。
自分らしく生きている時間帯が多ければ、それだけ幸せの総量は多くなるはずですから、「幸せだな」「楽しいな」と感じられる時間の多い人生を送っていきたいものです。そのためにも、最低限のラインはどこなのか、日頃から意識しておくことが大切なのだと思っています。
現在、我々を取り巻く環境は複雑で流動的です。我々もその時々の社会に順応していかなければなりません。しかし人間は、変化に対して少なからずストレスを感じる生き物です。VUCA時代である現代社会においては、特に不安になるのも当然といえるでしょう。
変化を強いられるのであれば、なるべくストレスを少なく、ポジティブな感覚でもって変わりたいものです。そのためには「お金・心・体」3つの最低ラインを把握しておくことです。そうすることで、急激な環境の変化が起きた場合でも、最低のラインをクリアすることだけに集中すればいいので、気持ちに余裕が生まれ、ポジティブに対応していけるのではないでしょうか。
変化の激しい社会に翻弄されることのない、自分らしい人生を送るためにもぜひ3つの最低ラインを事前に確認しておきましょう。
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